今年は5月中から真夏日があり、体調管理が難しいですね。そして暑くなると気をつけなければと思うのが食中毒です。食品は冷蔵庫に入っているからと言って安心はできません。
そんな食中毒を起こす原因菌を調べてみました。

★黄色ブドウ球菌
 黄色ブドウ球菌は皮膚や鼻腔にすむ常在菌です。エンテロトキシンという毒素をつくり、この毒素が食中毒の症状を起こします。エンテロトキシン酸にも熱にも強く、胃酸にも分解されません。また10%近い食塩濃度でも生存できるそうです。夏場のおにぎりは素手で握らないほうが良いですね。

★ボツリヌス菌
 ボツリヌス菌は自然界の毒素のなかでも最強で、フブ毒の1000倍以上の強さがあるそうです。ボツリヌス菌は嫌気性菌なので酸素のある場所では生きられません。なので、空気の入らないもの、ソーセージ、ハムや密閉食品などが中毒の原因となりやすいそうです。要冷蔵の真空包装食品はレトルト食品と間違いやすく、常温保存した為に中毒を起こした例があるそうです。パック詰め食品を買った時には表示されている保存方法を確認した方が良いですね。またボツリヌス菌100度で10分以上加熱すれば分解するそうなので、しっかり熱を通す事で食中毒を防ぎましょう。

★腸炎ビブリオ
 腸炎ビブリオはコレラ菌と同じ仲間だそうです。暖かい時期に海でとれた魚介類には一般的に腸炎ビブリオが付着していて、冷蔵していないと急速に増殖し、食中毒を起こすそうです。腸炎ビブリオは真水では増殖できないので、魚介類は魚介類は流水でよく洗ってから調理をし、加熱調理をする時は中心部まで熱を通す事が大切です。目安としては60℃で10分以上だそうです。また短時間でも冷蔵保存が大切で、冷凍魚であっても常温で解凍するのは危険でそうです。
さらに調理する過程で、手やまな板や包丁などの調理器具にも腸炎ビブリオは付着するので良く洗ってから次の調理をする事で二次感染を防ぐようにしましょう。

★サルモネラ菌
 サルモネラ菌はニワトリ、ウシ、ブタなどの家畜の腸管に広く生息する菌で、人に感染すると、激しい下痢症状を起こすそうです。人の場合口から菌が入り消化管で増殖することで発症します。産みたての生卵にはニワトリの腸管に由来するサルモネラ菌が付着しています。しかし日本では出荷前に消毒液を含む温水や紫外線などを使って殺菌消毒しているので、賞味期限内であれば安心して生食できるそうです。
 またうっかりしがちなのが、ペットもサルモネラ菌を保菌している事があるそうです。なので抵抗力の低い子どもや、赤ちゃん、高齢者には注意が必要だそうです。ペットの排泄物に触らないよう気をつける、口をなめさせたりしない、ペットに触れたあとは手を洗う事が大切です。

★カンピロバクター
 カンピロバクターは牛や豚、鳥、ペットの消化管に広く生息する菌で、排泄物に汚染された食品や水をとることで人に感染するそうです。特にトリ肉には注意が必要だそうです。それはトリ肉の皮の皮穴の部分にカンピロバクターが残っていることがあるからで、調理の時には十分に火を通す事が大切です。カンピロバクターの流行期は5月~7月前後なので、バーベキューなどをする時には皮目からよく火を通す事と調理器具などがからの二次感染を防ぐようにしましょう。

 他にもまだいろいろな菌やウイルスが食中毒の原因になる事がありますが、長くなりすぎますのでここまでにします。食品の保存方法や調理方法、調理器具の扱い、手洗い等に十分気をつけ、食中毒を防ぎましょう。

引用文献;身近にあふれる「微生物」が3時間でわかる本
編著 左巻 健男

(看護師)



null


長谷川医院のホームページに戻るには、左のリンクの「医院サイトへ」をクリックしてください