Kindleで購入しました。Kindleって場所取らないし、iPadminiだとかなり快適に読めます。でもやっぱり紙の本の方がいいように思うのは、昭和の人間ですかね。

発達障がいとトラウマ 理解してつながることから始める支援
amzn.asia
2,372円

読みたいと思った動機
これからはトラウマの時代になる、と言われているなか、今でも相談の多い「発達障がい」の問題と、トラウマとの関連性をしっかり把握しておきたいと思ったから。

得たい知識
理解することはもちろん、現場の診療で役に立つ、患者さんの接し方や助言、治療などについて知りたい。

発達障がいの患者さんとトラウマの関係はとても深いですが、その方だけを見るのではなくて、親の人生から見る視点を持たないと、事態の全体像が見えてきません。そして、理解できないと、共感が難しくなります。その子、その親がどのようにこれまで生きてきて、そして今の状況になっているのか。それを支援者が知り、そして知り得たことを患者さんに還元していく。それがトラウマケアとして大切なことなのかなと感じました。

トラウマケアにはトップダウンとボトムアップがあり、トップダウンは「思考」で考えて対処するやり方になります。それには、トラウマという仕組みを知り、自分の中で何が起こっているのかを知り、理性的に自分のことを理解し対処することが必要になります。

それが難しい場合は、ボトムアップの対処になります。「思考」ではなく「感覚」から、対処していく。何を「考えたのか」ではなくて、何を「感じたのか、感じているのか」を捉えていく。あるいは感覚を鍛えていく。言葉にならないその感覚を頼りに、感覚から記憶を辿り寄せていく方法です。

トラウマを抱えている人は、自分が抱えているものがそもそも「トラウマ」であるということすら認識できていないこともあります。患者さんを理解し、そして、患者さんにも自分自身のことを理解してもらう。それがトラウマケアの第一歩になります。理解することができると、その人と心理的につながることができます。心理的なつながりが、トラウマをケアしていくことになるのです。

トラウマの人を理解し、その人の生きづらさや苦労に心を寄せていく。トラウマケアって難しそうなイメージがありますが、精神科医としては普段、診療でやっていることの延長上にある過程を、丁寧にやっていくイメージなのかなと思いました。