10月の講演会の資料作りを進めていこうと思います。

講演のテーマは「過重労働と精神障害について」についてです。まず、「過重労働」とは何か?ということについて、法的基準と現場の実態についてお伝えしようと思っています。

法的基準からみた「過重労働」
法令上、「過重労働」という言葉そのものは明確に定義されていませんが、労働時間や健康障害のリスクとの関係で、厚生労働省や労災認定基準等によって一定の目安が設けられています。

労働時間に関する基準(労働基準法)
・原則:1日8時間・週40時間が上限(法定労働時間)
・36協定(時間外・休日労働に関する協定届)による時間外労働は、月45時間・年360時間が原則上限
臨時的な特別の事情がある場合でも、以下の上限あり(「上限規制」)
・年720時間以内
・単月100時間未満(休日労働を含む)
・2~6か月平均で80時間以内

労災認定の基準(精神障害との関係)
厚労省の「心理的負荷による精神障害の認定基準」(令和2年改訂)では、以下のような労働時間が精神障害発症のリスク要因とされています。
・発症前1か月に おおむね100時間以上の時間外労働
・発症前2~6か月間に、月平均おおむね80時間以上の時間外労働
これらの労働時間は、 「強い心理的負荷」と評価され、業務起因性が強く疑われる状態とされます。

現場の実態としての「過重労働」
法的な上限が整備されてきた一方で、実際の職場では形を変えた過重労働が存在します。

サービス残業や「持ち帰り仕事」
・タイムカード上では8時間勤務でも、実際には夜中までメール対応・資料作成をしている
・出退勤記録に現れにくい労働が増えている(テレワーク中も含む)

労働時間だけでは測れない「密度の濃さ」
・仕事の中身が高度化・複雑化(マルチタスク・短納期)
・慢性的な人員不足により、常に緊急対応に追われる
・精神的プレッシャー(例:クレーム対応、パワハラ、人間関係の悪化)

「名ばかり管理職」や「自己裁量型勤務」による盲点
・管理職で労働時間管理の対象外になり、長時間労働が常態化
・裁量労働制やフレックス制が、「労働時間管理を曖昧にする口実」となっているケースも

産業医面談の義務化:時間数と対応の目安
・時間外労働80時間未満:原則、産業医面談の義務なし(必要に応じて任意対応)
・時間外労働80時間超:本人申出があれば義務(面接指導)
・時間外労働100時間超:労災認定基準上、強い心理的負荷と評価されうる
ただし、これらの対応も、サービス残業や名ばかり管理職には対応できない現状あり

少しずつ、資料を作っていきます。