この本は内的家族システム療法についてもう少し知りたくて買いました。2024年1月の購入なので、1年半ほど寝かしていたことになりますね。しかしこれで買い溜めていた本は全て読み終わりました。心置きなくAmazonプライムセールで本を買おうと思います(確かポイントはつくはず)。

カップルセラピーのための内的家族システム療法マニュアル―トラウマを超え真のパートナーシップを創造するIFIOアプローチ
amzn.asia
3,300円

読みたいと思った動機
夫婦間の問題を取り扱う参考になると良いなと思ったのと、内的家族システム療法についてもう少し知りたかったので。

得たい知識
普段の診察でも、夫婦間、パートナーシップ間の悩みはよく聞きます。何かアドバイスする上で参考になるような知識が得られると助かります。

この本は、とても良かったです。夫婦で診察室に来られて、診察室で喧嘩になるパターンというのは実際の外来でも時々あります。夫婦でなくても、親子でもそういうこともあります。私は、そういった口論になる状況が好きではなく、いつも「困ったなあ」と感じていたのですが、そういった状況での、セラピストとしての在り方についての記述も多く、大変参考になりました。

また、トラウマを抱えている人の特徴としての、「パーツ」をどう捉え、どう対応していくかという点に関しても参考になる部分が多かったです。
実際の診療では、時間は十分には取れませんが、患者さんが情緒的に不安定になった時には、「パーツ」が活性化されているという視点をもつことは重要だと思います。そのような視点が持てると、こちらも落ち着いて対応できます。患者さんにも、自分の中で何が起きているのかを理解してもらうよう、促していくことも可能です。

夫婦やパートナー関係の人は、より深く相手と関わるようになるため、それだけ、その人の抱えているトラウマを刺激するリスクも上がるのだと思います。元々の育った家庭で受けていたトラウマや、子ども時代に経験したことから生まれたトラウマが、夫婦関係・パートナー関係の中で再現されていくのです。そのことを知らずに過ごしていると、自分が悪い、相手が悪い、といった、今の関係性の中に原因を考えるようになってしまいます。そうではなくて、過去のトラウマが刺激されてしまった結果、適切ではない対処機構が出てきてしまっているのです。

そのことを理解した上で、カップルの二人を治療するというのは、個人カウンセリングにはない視点、気遣いが必要になります。どうしても、どちらかの話に焦点が当たることがありますが、その場合に、もう一人にどのような配慮をして話を進めていくか。具体的な症例の提示もあり、それらの気遣いが非常に丁寧になされていました。

診療の場面では、患者さんを一番の主軸にして対応することになりますが、同席される家族にも配慮をしていくことや、家族が話をするときに患者さんに配慮することなど、実際の現場でも大変参考になるところがありました。