精神科医のつぶやき「本から得た知識のシェア|USPT入門 解離性障害の新しい治療法」 (2025/06/30)
投稿者: furujinmachi
解離性障害という病気は、なかなかお薬だけでは改善せず、これまでは精神分析療法のような、強力な精神療法が必要なイメージでした。ところが新しい治療法が試みられていると聞き、図書を購入。購入日は2020年になってました。またもや寝かせ過ぎ。でも貯めていた本を読み進めていけているので、よしとしてます。
USPT入門 解離性障害の新しい治療法 -タッピングによる潜在意識下人格の統合-
amzn.asia
1,980円
読みたいと思った動機
自分が苦手と思っていても、そんなことは患者さんには関係ありません。トラウマを抱える人が増えている中で、解離性障害に困っている人も確実に増えています。新しい治療法を身につけて、対応できるようにしたいと思いました。
得たい知識
ここで紹介されている治療法が、日々の臨床で実践できそうなのか?あるいはうちのスタッフに手伝ってもらってでも実施可能かどうかが知りたい。
この本は薄くて読みやすく、最後は症例も提示されてイメージしやすかったのですが、かなり思い切った内容もあり、同業者として、よくここまで開示されたな、というのが正直な感想です。
でも、どのような批判や非難を受けても、有効な治療を生み出し、そしてそれを広め、困っている患者さんを助けたいという、著者の熱い気持ちを感じました。同業者として頭が下がる思いです。
難しい解離性障害の治療を、できるだけ簡易に行いたいという意図で作られた治療法でしたが、それでも時間を取られるのは事実で、一般診療の合間で実施するのは難しそうであり、また独特の技法のため、エッセンスを日々の臨床に活かすというのは少し難しいように感じました。
ただ、著者の先生が今年の日本精神神経学会学術総会でシンポジウムもされているようでしたので、そちらも視聴して(最近は学術総会もオンデマンド視聴が出来て、地方在住者にはめちゃくちゃありがたいです)、知識は得ていきたいと思います。新しい治療法がどんどん開発され、当院でも提供可能なものが出てくることを期待し、常に知識のブラッシュアップは続けていきたいと思います。