すでにどこかの精神科/心療内科に通院中の方が、転院を希望して来られることがあります。その場合は、紹介状をいただくようお願いしています。
転居など妥当な理由で転院する場合はスムーズに紹介状をいただけるのですが、転院先を変更したい場合には、紹介状をいただくのにハードルが高い場合がありますね。患者さんから難色を示されることもあります。これもよく分かります。何かしら、別の病院にかわりたいと思ったときに、そのことを主治医に伝え、紹介状をいただくというのは、お願いしづらくて当然と思います。

しかし、それでも紹介状をいただきたいんですよね。

紹介状をいただきたい理由は、一つには情報を得たいということがあります。
これまでせっかく治療を受けてこられて、それが一からやり直しになるのはあまりにも勿体ない場合があります。特に知りたいのは以下のような情報ですね。
①前の主治医の先生のみたて
②薬物治療の経緯
③手帳や年金など公的サービスの利用状況
薬物治療はお薬手帳があれば直近のことは分かりますが、紹介状をお願いすると、今までどんな薬を試して有効だったか、無効だったか、副作用が出た薬があったかなどさらに詳細な情報がいただける場合があり、大変助かります。公的サービスについても、患者さんが初診の時に話し忘れており、更新直前になって申し出があって非常に慌てることもあります。

あとは、転院するということを前の主治医の先生に知っていただくという意図もあります。

転院は患者さんの自由ではありますが、しばらく通院していた患者さんが来なくなったときに、どうしたのかな?と考えることがあります。転院したなら、転院したと知っておきたいと思うんですね。

また、主治医の先生との行き違いで転院を希望されるときに、転院したいことを話し合うことで、誤解が解け再度通院を継続できる場合もあると思います。精神科/心療内科の治療は、どうしても長くなってしまうことがあります。その病院/クリニックが悪くて治らないのではなく、病気の性質上仕方ないこともあり、よくならないからといって転院することが、必ずしもいいとは限らないこともあるのです。

なので、転院したいということを主治医の先生にお伝えしてから、転院してきていただきたいなと思ってます。ただ、お願いしても紹介状を作成してもらえなかったという場合がたまにあり、その場合は紹介状なしで対応することにして、どのような事情なのか確認させてもらっています。お話を聞くとやむを得ないと納得できることもあったりしますので。なのでケースバイケースですが、可能な限りはお願いするというスタンスでこれからも行きたいと思います。