これもしばらく寝かせていた本です。だいぶ貯めていた本を読み進められています。とにかく不登校の相談が増え、なんとか対応したいと思い購入しました。これも前回の本と同じで2021年の購入です。この頃に読みたいと思って何冊か買って、そのまま本棚で眠っていた本たちですね。発掘できただけよしとしましょう。

不登校支援の手引き―児童精神科の現場から
amzn.asia
3,080円

読みたいと思った動機
不登校の患者さんに、もっと役に立てるようになりたいと思ったから。

得たい知識
不登校の診たて、支援の中でも、医療機関としてできることは何か知りたい。また、今相談に来られている患者さんに役に立つ知識が得たい。

この本は、正直、とても良かったです。不登校の方を対応する医療機関の人はすごく勉強になると思います。早く読めば良かったと悔やむレベル。

まず、不登校の長期経過について。不登校を経験した子どものうち、7〜8割は、成人後の社会適応が良好だという統計結果が紹介されています。これってすごく大事な知識だと思うんですね。お子さんが不登校になって、親は、子ども達がそのまま引きこもりになってしまうことを一番心配されていると思うんです。でも実際そんなことはなくて、そのまま引きこもりになる子の方が少ないという事実があるということです。この数字は当院で診させてもらっている子ども達の状況ともほぼ一致していると思います。もちろん、中には残念ながら重篤な精神疾患を抱え、社会復帰が難しくなる子もいます。それは、発熱で内科に行ったときに、単に風邪引きで数日で回復する子どももいれば、もっと重症な病気の始まりが発熱だった場合もあると思うんですね。ただ、思ったよりもみんな社会復帰している、という事実は知っていただきたい。

それと、診療担当する医療グループは、子どもの評価、学校環境の評価、家庭環境の評価という視点をもつ必要があります。これは子どもを診る上では、必須の視点ですね。どれか一つだけが原因ということはありませんが、どのような状況で、どこのウエイトが重いか、そしてどこの部分からが介入しやすいか。そのあたりを評価していく必要があると思います。

それから、再登校の大変さについては、もっとしっかり認知してもらえた方がよさそうです。不登校の予後は良いとは言え、いろんな理由で学校に行けなくなった子ども達が、再び学校に行くようになるのは思ったより大変だという認識も大事です。そして、「支援の目標は再登校ではない」ということも、共通認識としてもっておく必要があると思うんですね。支援の最終目標は社会復帰であって、不登校になった学校に戻ることではない。いろんなルートで大人になっても良いという視点は大事です。

とはいえ、再登校にせよ社会復帰にせよ、不登校ないしは引きこもりの状態から徐々にステップアップする必要はあります。支援とは、そのステップアップを支えることでもあり、まず最初の段階を試して、「これでは物足りないかな」位になったら次のステップに進む。子どもが新しいステージに慣れ、次にステップアップするまでのエネルギーが溜まるのには、大人が思うよりも時間がかかることを認識し、焦らさないことが大事になります。

不登校支援で大事なことをたくさん書いて下さっていました。