精神科医のつぶやき「「セルフ」は「選択」をすることが重要です|サイコシンセシスを学んで その9」 (2025/06/23)
投稿者: furujinmachi
前回、同一化と脱同一化について書きました。
同一化と脱同一化をしていくと、いろんなことを考え、感じ、動いている自分がいるのですが、でも、思考も感情も感覚も意欲もイメージも本来の自分ではない。それらは持っているだけで、自分自身ではないのです。サブパーソナリティも自分ではない。では自分とは?という問いかけになります。自分とは本質的には何者なのだろう?でも、確実に「自分」は存在します。
サイコシンセシスでは、この「自分」を「セルフ」と呼んだりしますが、「セルフ」の行うことは「選択」です。例えば、前回の「同一化」と「脱同一化」ですが、何かと同一化することも、そして脱同一化することも、「セルフ」が「選択」することができます。ただ、この「セルフ」に気づいていない状態では、サブパーソナリティに無意識に同一化しているため、「自分らしさ」から離れてしまい、苦痛やストレスを抱えるようになります。そのことに気づき、「選択」できる状態になると、「本来の自分らしさ」が戻り、生きる喜びや充足感が得られやすくなります。
なので、サブパーソナリティや自分のパーツに気づくことはとても大事です。気づいて、しっかり同一化して、そして脱同一化する。そのことを繰り返していくうちに、自分で、今の自分がどの「モード」でいるのか、どの「モード」でいたいのかをコントロールできるようになっていきます。
そうやって「セルフ」は「選択」をしていくというのが大事な役割になっていくのですが、この「選択」をするために重要なのが「意志」の力です。サイコシンセシスの創始者のアサジョーリ先生は、この「意志」の力をすごく重視されていて、それだけで本を1冊作られているほどです。
つまり、「意志」を鍛えると良い、ということになるのですが、「意志」を鍛えるのって、大変そうな感じがしませんか。なんだか辛そうな感じというか、滝修行でもするようなイメージがあります。なので恐る恐るこの本を読みました。
結論から言うと、実際、地道な練習も必要だったりするのですが、ただとにかく頑張る的な、「力押し」をするような意志の話だけではなかったんですよね。もちろん、意志の力が強い方がいいのは事実です。でも、力押しでやっていって、すぐに倒れてしまうようでは、大きなことをなしえていくのは不可能です。そこで、「巧みな意志」と言われる、意志の力を上手に活用する方法も提示されておりました。
次回、この「意志」についての話を続けていきます。