買ってみたものの、分厚い本で躊躇しておりました。しかし、目的を持って読み、知識を吸収していこうと思います。Amazonで見ると2024年1月に購入したとのこと。寝かせすぎですね。頑張って読見ました。

不安へのエクスポージャー療法: 原則と実践
amzn.asia
6,600円


読みたいと思った動機
暴露療法は心理師やPSWに任せっきりの状況なのですが、やはり自分でもちゃんと把握しておきたい。カウンセリングを希望されない方に対して、診察時間で少しでも伝えられることがあれば知りたい。

得たい知識
エクスポージャー療法の基本的な考え方、実践方法。
診察でも使えそうな方法があればそれも知りたい。

これは、いろんな不安に対するエクスポージャーの仕方が載っており、教科書的にそばに置いておきたい内容です。エクスポージャーといえば、強迫性障害に使用するイメージが強いのですが、社交不安症、パニック障害、広場恐怖、トラウマなど広範囲の不安に対応しており、また強迫性障害の中でも扱いにくく感じる「侵入思考」や「しっくりこない感じ」などに対する対応も書かれています。

エクスポージャーは、患者さんが不安だから避けていたり、なんとか不安を感じなくて済むようにとっている対処行動に対して介入する治療です。なので、取り組む難易度は高めだと思います。ただし、そのかわり、効果は高いです。不安障害に対する根本的な治療法と言っても過言ではないと感じます。

ただ、この難易度の高い治療法に取り組むには、工夫が必要です。避けている不安に向き合い、対処行動をやめていくためには、ある程度段階が必要です。でも、治療のための工夫の段階なのか、患者さんが不安と向き合うことを避ける手助けになってしまっているのか、治療者と患者さんが実施しようとしている方法が、どこに向かうことになるのか、それを理解しておくことが大事だと思いました。エクスポージャーの原則、原理をきちんと理解し、目の前の患者さんと話し合っている作戦が、その原則原理に外れていないかをチェックできるようになる必要があると感じます。

この本には、事例もたくさん載っていて、こういう点に気をつければいいのだなということが理解しやすいです。文量が多く読み応えはありますが、読むと自分の臨床スキルの幅が広がるのを感じられると思います。

短時間の診療でも、不安障害の患者さんにとって、どのような行動が望ましく、どのような行動が望ましくないのかを知っておくだけでも、患者さんにできる助言が変わってくると思います。ただ、その不安と向き合うことの大変さも理解し、その大変さをいたわる気持ちも忘れてはいけないと感じました。