さて、10月の講演会ラッシュに備えて、資料作りをしていますが、一つ目の「メンタルヘルス不調の方の社会復帰について」はそろそろ仕上げになりそうです。


最後に伝えようと思っていることは、社会や家族にできることについてです。
・復職はゴールではなく「再スタート」
・無理のないペースで見守ること
・企業に必要な視点(柔軟な勤務設計、継続的配慮)
このような内容を話そうと思います。

復職は「ゴール」ではなく「再スタート」
・治療や休養を経て職場に戻ることは通過点
・再発予防・安定した就労継続のためには、長期的な支援が必要
・「元に戻る」ではなく「新しい働き方を築く」過程と考える
これは、医療従事者も気をつけなければなりませんが、休養を経て、なんとか復帰できると、そこがゴールのように感じて、周りは「良かった良かった」と安心するところがあるかと思います。でも、本人からするとそこからが踏ん張りどころです。また、「元通り」になることも気をつけなければなりません。「元通り」になるということは、「無理をして再発する」ことにつながる場合があります。メンタルヘルス不調の経験を経て、無理のない新しい働き方を見つけていくことが大切だと思います。

無理のないペースで見守ること
・本人の「できること」と「やりたいこと」にはギャップがあることも
・焦らせず、変化に一喜一憂しすぎず、日々の積み重ねを見守る姿勢が大切
・「励ましすぎず、突き放さず」:適度な距離感と共感的な関わりを
一番焦ってしまうのは本人で、周りがそれを止めるような関わりをしてちょうど良いことが多いです。無理をして途中で倒れてしまうより、確実にやっていけるペースの方がいいんですよね。しばらく休んでいたので、感覚を思い出すのにも時間が必要です。かといって、本人が少しずつペースを上げたいと思っているのに、あまりにも安全を取り過ぎても行けないので、まさに、「励ましすぎず、突き放さず」みたいなバランス感覚が大事なのかなと思います。

企業に必要な視点
・柔軟な勤務設計:例)時短勤務・業務調整・在宅勤務など段階的な負荷調整
・継続的配慮:例)面談の継続・業務内容の見直し・職場内理解の促進
・「復職=フル稼働」ではない。回復の段階に応じた職場づくりがカギ
復帰の際には、基本的に元の仕事を出来ることを目指していただくようになりますが、状況によっては、病状にあわせた配慮を検討してもらうことが出てきます。試し出勤制度を導入している会社も増えており、数ヶ月から半年ほどの期間をかけて、徐々に元の勤務量に戻すような、段階的な配慮をしていただけると、復職はずいぶんスムーズになると思います。

社会全体の理解と寛容さ
・メンタルヘルスの回復には「環境の安全性」が不可欠
・再発を責めず、助けを求めやすい空気づくりを
・「不調は誰にでも起こりうるもの」──その前提が支援の出発点
メンタルヘルスの問題は、もはや誰にでも起こりえるものになってきています。本当に、「明日は我が身」です。困ったときに、助け合える土壌は絶対必要と思います。みんなが、他人事ではなく自分事としてメンタルヘルス問題を受け止めるようになっていただきたいと思います。

これで、なんとか講演スライドをまとめます。そして次の講演資料作りに入りたいと思います。