精神科医のつぶやき「本から得た知識のシェア|感覚の困りごとへの心のケア」 (2025/06/23)
投稿者: furujinmachi
感覚過敏の患者さん、多いので、読んでみました。
感覚の困りごとへの心のケア―センサリーフレンドリーをめざす支援の実際
amzn.asia
2,640円
読みたいと思った動機
学会誌に紹介があり、感覚過敏の患者さんに対して何か役に立つ情報があればいいなと思って購入した。自分が現在している支援が正しいかどうかも確認できればと思っている。
得たい知識
感覚の困りごとに対する具体的な対応法があれば知りたい。
感覚に困っている人をどう支援すればいいのかが知りたい。
感覚過敏は、音(聴覚)、光(視覚)が一番分かりやすいですが、他にも味覚、触覚、嗅覚の感覚過敏もあり、食事や服のこだわりにつながることになります。それから痛覚。痛みに敏感あるいは鈍感であったりとか。それと、温覚、湿覚に過敏な人もいて、暑がりとか寒がりが酷かったり、体調を崩しやすかったり。湿気が高いと気分が悪くなり、乾燥してても喉が乾いて辛くなったり。あとは圧覚に過敏があるかどうか。これは天気や気圧が変化すると頭痛が起きて辛いとかですね、これは結構いろんな人にみられると思います。前庭覚に過敏があると、姿勢を保つのが難しくなったりするようです。温覚、湿覚、前庭覚なんかは初耳です。圧覚に過敏な人の話はよく聞きますが、これも感覚過敏に入るとは認識してなかったですね。
感覚過敏の人は、過敏でいることに疲れ、また解離や防衛のため、感覚鈍麻になることがあるようです。また、何かに夢中になる過集中やこだわりといった行動も、感覚過敏からくる可能性があり、感覚過敏だからこそ特定の感覚にこだわり過集中になる可能性があるとのこと。
また、感覚過敏があると対人関係にも影響し、人との関わりを避けたり、あるいは逆に、人を信用しすぎて騙されたりと、他人との距離の取り方がうまくいかなくなるとのこと。
そもそも、感覚過敏は自閉スペクトラムやADHDといった発達障害の人に多いので、その為もあると思うのですが、こだわりや過集中の強い人には、感覚過敏があるのでは?という視点を持つことは意義がありそうです。
また、不安が強くなると感覚過敏が悪化するとのこと。なので不安のケアをすることはとても重要になります。
あとは自分と周囲が理解し、可能ならば環境調整していく、苦手なことはスモールステップで慣らす、という対策が必要になるそうです。
他の人が平気なことができない、と感じて自己肯定感が低下している人は多いです。でも、感覚過敏であることで、たくさんの刺激を受けて疲れやすくなってしまっています。生活リズムを整えることを意識して、食事の好き嫌いも少しずつ慣らして、とにかく体調を安定させること、そして上述の不安対策をすること。
社会も少しずつ、感覚過敏の人に向けた取り組みが始まっているようで、スーパーで音響や光を柔らかくする日を設定するといった試みがあるようです。感覚刺激を減らすと、通常の人でも楽に感じます。社会全体が、もう少し様々な刺激を減らす方向に向かってくれると良いなと思います。