本棚に並べてあった順番なので読み出したんですが、これがすごく面白かったです。この本をいつ買ったのか、なぜ買ったのかがあまり思い出せないんですが、こんないい本を持ってたなんて、と驚きました。スタッフにも頑張って読んでみてほしいと思っています。

システマティック臨床精神医学 4つの多元的観点による治療体系化
amzn.asia
2,970円


読みたいと思った動機
おそらく、先日読んだ「精神科診断に代わるアプローチPTMF」に紹介されていたのか、それか、何かの雑誌で紹介されていたのか、興味をひいて購入したものと思われる。
あ、ちょっと思い出したような。確か、スタッフに精神医学について説明できたらと思い、精神医学の復習をしたいと思ったのと、何か新しい見解が得られそうだなと思って興味を持って購入したような記憶がある。

得たい知識
精神医学は今どんな状況になっているのか?
副題にある「4つの多元的観点」とは何か?
何か今の診療に活かせそうな内容はあるか?

いつものように速読でささーっと読もうと思ったのですが、症例ベースの本で、面白くてついしっかり読んでしまいました。

4つの多元的観点とは、「疾患」「特質」「行動」「生活史」です。

「疾患」:患者が has=「持っている」
臨床症候群→病理学的過程→病因
目標:サポートし薬剤で治療する
一番私たち臨床家に馴染みのある観点ですね。今の患者の症状を把握し、そこから病気、病因を考える観点です。

「特質」:患者が is=「である」
潜在因子→誘発因子→反応
目標:導く
患者さんのパーソナリティだったり、知能や発達特性などに当たります。その人が元々持っている特質に、何か誘発因子が加わって、今回の反応を起こしているという観点です。

「行動」:患者が does=「する」
生理学的衝動、条件づけ学習、選択の3つの要素が互いに影響する
目標:介入する
その人が起こした行動は、その人の衝動と、これまでの経験(学習)から選択されている、という観点です。その人のこれまでの生い立ちや経験から、そのような行動を起こした、という部分を理解する指標です。

「生活史」:患者が encounters=「遭遇する」
場→順序→転帰
目標:修正する
患者さんが何に遭遇し、それにどのような影響を受けたのかを知る観点です。ライフイベントによって精神症状が引き起こされたことを理解することに役立ちます。

4つの観点からのアプローチから、治療者は治療目標を考え、どのような治療を施行するかを決めます。確実に効果のある治療を行うためのアプローチとも言えます。

8人の症例を、この4つの観点からのアプローチで解説されており、また、医師がどのような声掛けで情報を収集しているか、そのやりとりも載せてくれているため、具体的な診察場面がイメージできるような内容です。とても勉強になりました。患者さんを見る視点、判断する観点を磨いていきたいです。