前回、サブパーソナリティという概念を紹介しました。

サブパーソナリティは、私たちのこれまでの経験の中で作られた私たちの一部です。心理療法の流派によっては、これを「パーツ」と呼ぶこともあります。普段は、状況に合わせて、自分のいろんなサブパーソナリティがやってきて自分の代わりに色々と立ち振る舞ってくれます。しかし、時々、「困ったサブパーソナリティ」というものが出てきて、困った反応をすることがあります。

何か強い負の感情を感じているときは、サブパーソナリティが出てきていることが多いです。怒っているときや、悲しんでいるとき、落ち込んでいるとき、不安になっているとき。そして、その感情を何とかしようとして、何か行動を起こします。それがうまくいくといいのですが、あまりうまくいかないことも多く、かえって事態を悪化させてしまうこともあるのです。

サブパーソナリティは、だいたいが、子どもの頃の経験から形成されています。子どもの頃、辛かった体験をなんとかやり過ごそうとして、子どもなりになんとか振る舞い、そのときに学習したパターンがサブパーソナリティとなって、私たちの中に残ります。子どもの頃は、それでなんとか、そのしんどい状況を切り抜けていたのですが、大人になった今は、それは不必要だったり不適切だったりすることがあるんですね。でも、自分の中の子どもは、一生懸命そのパターンを繰り返して、頑張って自分を守ろうとしています。

なので、何かうまくいかないときに、「なんで自分ってこんなにダメなのかな」とか「自分って最悪だ」といった形で自分を責めるのではなく、「子ども時代の私が必死で頑張ってるんだ」「何が困って子ども時代の私がSOSを出してるんだろう?」と自分に問いかけてみるのが良さそうです。

私は、人に何か指摘されると、素直にそれを受け止めるのが難しいです。どうしても反発したり、言い訳したりしたくなります。でもそれは、子ども時代の自分のパターンなんですね。子どもの頃、理詰めで叱られ、言い返せず、悔しい思いをしたときのパターンです。それに気づいた今でも、何か指摘されると言い訳したくなったり、反発したりしたくなります。でもそのときに、「あっ、これは子どもの私の苦手なヤツね。大丈夫、大人の私が対応するから、あなたは無理しなくていいよ」と、サブパーソナリティと対話し、違うパターンを試してみる、ということが少しずつできるようになってきました。

次回はサブパーソナリティとの対話について少し書こうと思います。