精神科医のつぶやき「本から得た知識のシェア|精神科の薬について知っておいて欲しいこと」 (2025/06/03)
投稿者: furujinmachi
たまっている本をせっせと読み進めるシリーズです。
精神科の薬について知っておいてほしいこと 作用の仕方と離脱症状
amzn.asia
2,420円
読みたいと思った動機
「精神科診断に代わるアプローチPTMF」の中で紹介されていた。精神科医療や薬物療法自体に慎重だったり、いわゆる「アンチ」な意見が多そう。でも、その中でもエビデンスがあり、きちんとした批判は知識として知っておくべきだし、薬物を処方する立場として気をつけておきたい点があれば知っておきたい。
得たい知識
精神科の薬の作用についての復習
新しい作用仮説などがあればその情報
精神科の薬を使用する意義
精神科薬物を処方する上で気をつけたいこと、配慮すべきこと
こちらの本は、精神科の薬の使用に慎重な姿勢でした。ただ、いたずらに反対しているのではなくて、科学的に薬を使うことの意義や問題点を冷静に捉える試みがされていました。
読んでいて、なるほどと思った点。薬は果たして「病気を治しているのか?」と言う視点。例えば、メンタル不調じゃない人が薬を飲むとどうなるのか、ということの吟味をされている結果、メンタル不調ではない人手も、お薬を飲むと何らかの作用が出ます。実際、不安に効くお薬は、不安の種類がなんであれ、効果が出ます。なので、病気を治しているのではなくて、症状を抑えている、という理解が必要だと言うことです。
ただし、だからお薬が不要ということではなくて、例えば高熱が出ている人は、原因を治す前に解熱剤で熱を下げた方がいい場合があります。痛みが出ている人も、原因が治るまで痛み止めで痛みを抑えて、日常生活が辛くならないよう工夫する意義があります。同様に、薬を使い、たちまちの痛みを軽減することで、日常生活の困りごとを減らすことは、とても大事な使用意義です。
それから、維持療法に関して。精神科の薬は、離脱症状が出ることが多く、薬をやめたときに再発する、調子を崩す、という訴えの多くが、離脱症状の可能性があるとの指摘がありました。そして、今まで一般的に言われていた離脱症状の持続期間(2週間程度)よりもっと長く離脱症状が出ることもあり得るとのこと。
そのため、これまで、お薬をすぐやめると再発する、と言われていたことが、実は離脱症状であって再発ではない方もそうとう含まれている可能性があるとのこと。なので、本当に維持療法が必要なのか、維持療法を行うエビデンスは何なのか、再考しなければならないとの警告がありました。
なので、お薬を減量し、中止にしていくときに、何か症状が出たときに、それが再発なのか、離脱なのかは慎重に評価しなければならないと思います。また、症状がしばらく続くからと行って、再発と決めつけず、単に離脱である可能性も念頭に置いておきたいと思います。
お薬は副作用や離脱も含め、マイナスな点があるのは事実です。だからこそ、正しい知識を持って適切に使っていけるよう、日々精進したいと思います。
精神科の薬について知っておいてほしいこと 作用の仕方と離脱症状
amzn.asia
2,420円
読みたいと思った動機
「精神科診断に代わるアプローチPTMF」の中で紹介されていた。精神科医療や薬物療法自体に慎重だったり、いわゆる「アンチ」な意見が多そう。でも、その中でもエビデンスがあり、きちんとした批判は知識として知っておくべきだし、薬物を処方する立場として気をつけておきたい点があれば知っておきたい。
得たい知識
精神科の薬の作用についての復習
新しい作用仮説などがあればその情報
精神科の薬を使用する意義
精神科薬物を処方する上で気をつけたいこと、配慮すべきこと
こちらの本は、精神科の薬の使用に慎重な姿勢でした。ただ、いたずらに反対しているのではなくて、科学的に薬を使うことの意義や問題点を冷静に捉える試みがされていました。
読んでいて、なるほどと思った点。薬は果たして「病気を治しているのか?」と言う視点。例えば、メンタル不調じゃない人が薬を飲むとどうなるのか、ということの吟味をされている結果、メンタル不調ではない人手も、お薬を飲むと何らかの作用が出ます。実際、不安に効くお薬は、不安の種類がなんであれ、効果が出ます。なので、病気を治しているのではなくて、症状を抑えている、という理解が必要だと言うことです。
ただし、だからお薬が不要ということではなくて、例えば高熱が出ている人は、原因を治す前に解熱剤で熱を下げた方がいい場合があります。痛みが出ている人も、原因が治るまで痛み止めで痛みを抑えて、日常生活が辛くならないよう工夫する意義があります。同様に、薬を使い、たちまちの痛みを軽減することで、日常生活の困りごとを減らすことは、とても大事な使用意義です。
それから、維持療法に関して。精神科の薬は、離脱症状が出ることが多く、薬をやめたときに再発する、調子を崩す、という訴えの多くが、離脱症状の可能性があるとの指摘がありました。そして、今まで一般的に言われていた離脱症状の持続期間(2週間程度)よりもっと長く離脱症状が出ることもあり得るとのこと。
そのため、これまで、お薬をすぐやめると再発する、と言われていたことが、実は離脱症状であって再発ではない方もそうとう含まれている可能性があるとのこと。なので、本当に維持療法が必要なのか、維持療法を行うエビデンスは何なのか、再考しなければならないとの警告がありました。
なので、お薬を減量し、中止にしていくときに、何か症状が出たときに、それが再発なのか、離脱なのかは慎重に評価しなければならないと思います。また、症状がしばらく続くからと行って、再発と決めつけず、単に離脱である可能性も念頭に置いておきたいと思います。
お薬は副作用や離脱も含め、マイナスな点があるのは事実です。だからこそ、正しい知識を持って適切に使っていけるよう、日々精進したいと思います。