サイコシンセシスでは、下位無意識や中位無意識の理解のための方法の一つとして、サブパーソナリティワークというのをします。これは、私たちの中に、さまざまな人格を持つ別の顔がある、という考え方からきています。極端に多重人格ではなくても、私たちはいろんな仮面をかぶって生活しています。家にいる時の自分と仕事の時の自分は多少違う振る舞いをすることが多いでしょうし、例えば家庭でも、みんなでいる時、1人でいる時、子供といる時、親といる時、パートナーといる時、兄弟といるときなど、一緒にいる相手でもちょっとずつ自分の態度が違うことがあると思います。また、同じ相手、同じ状況でも、その時の話題や体調、相手の様子などでも、自分の立ち振る舞いが変わることがあると思います。

それは、例えばオーケストラみたいなイメージでしょうか。たくさんの演奏家がいて、一つの曲を演奏しています。演奏家の一人一人がサブパーソナリティで、その指揮をしている人が、「セルフ」と呼ばれる、自己の中心的存在、ということになります。たくさんのサブパーソナリティがいても、「セルフ」が指揮をとってうまく調和が取れていると、特に大きな問題にはなりません。TPOに合わせて、自分の立ち振る舞いを上手に使い分けている、ということになると思います。

ところが、サブパーソナリティが、「セルフ」が意図していないところで急に動き出すと、少し困る場合が出てくると思います。指揮者の指揮に従わず、急にバイオリン奏者が違う曲を弾き出したら困りますよね。

実際、「なんであのとき、あんな風にしちゃったのかな」と思うことや、「いつもこのことがうまくいかないな」と感じているときには、想定していないサブパーソナリティが出てきてしまっていることがあると思います。まず、特定の状況で、よく顔を出してくるサブパーソナリティを認識することから、始められるといいと思います。

適応的なサブパーソナリティも含めて、自分にどんなサブパーソナリティがあるか、少し考えてみましょう。仕事にいるときに、テキパキしている自分だったり、逆に緊張して不安になっている自分、周りの顔色を見る自分、負けず嫌いな自分、冷静な自分、親切な自分、世話焼きな自分…仕事をしていても、状況や相手によって少しずつ違う自分がいると思います。家庭ヤプライベートではどうですか?リラックスしている自分、バタバタしている自分、イライラしている自分、何かに夢中になっている自分、疲れている自分、寂しい自分、楽しんでいる自分…その自分自分で、少しずつ表情、感情、意欲、考え方が違ってきているのではないでしょうか?

もう少し、このサブパーソナリティの話を続けます。