精神科医のつぶやき「イメージ療法も、筋トレです。基本は毎日コツコツ、なんですよね|サイコシンセシスを学んで その3」 (2025/05/23)
投稿者: furujinmachi
前回、下位無意識に閉じ込められているトラウマを扱うのに、上位無意識の力を借りることについて少し書きました。
トラウマケアをするための心理療法として、インナーチャイルドセラピーという手法があります。これは、子ども時代のトラウマで傷ついた子どもが、自分の心の中にいて、その子ども(インナーチャイルド)をケアしていく、という心理療法になります。
ただ、その人自身が、子どもをケアできるほどの状態でない場合、まず、その人自身が子どもをケアできるだけの自己肯定感だったり、自尊心だったりを回復する必要があります。本当の意味で、自己肯定感が回復し、自尊心が持てるようになるために、インナーチャイルドをケアしていかないといけないのですが、車輪の両軸のように、どちらも大事というか。インナーチャイルドのケアをするために、大人の自分がまずその力を強め、そしてインナーチャイルドのケアをする。そうしたらまた大人の自分に力がつく、その繰り返しになります。
大人の自分に力をつける作業が、上位無意識の力を借りることになると思います。まず、自分自身に必要な要素を、イメージの中で取り入れていくようにします。
何が必要かは、その人によって違います。純粋にエネルギーを必要とする人もいますし、リラックスできること、自分にパワーがあると信じること、愛情、忍耐力、意志の力、清明さ、いろんな要素を必要とすることがあります。今、たちまち健康であまり困っていない人でも、「もう少し自分を律せるといいなあ」とか「もう少し体力があるといいいなあ」とか「もう少し自己主張できるといいなあ」とか、そんなふうに思うこともありますよね。そういう時にも、上位無意識の力を借りて、イメージによって得たいものを取り入れるようにしていくことが可能です。
カウンセリングは筋トレ、と紹介したことがありましたが、
イメージ療法も筋トレです。日々、コツコツと行なうことが大切です。徐々に自分の中にイメージが定着したり、イメージが変化したりしていきます。
朝晩2回、3分程度のイメージから始めるので良いと思います。イメージを行って、気づいたことや感じたことを日記やメモとして書くことが推奨されます。そのメモは見直すこともあれば、見直さないこともあります。でも、習慣にしておくと、ある時ふっと気づいたりすることが出てきます。
イメージのやり方も結構自由でいいんですよね。でも何でもいいと言われたら困る方も多いので、いくつか典型的なイメージ法というのがあります。最近では、ネットでいろいろな音声が入手できるので、瞑想系のイメージ誘導文を音声で聞くのが簡単で良いと思います。私は自分でボイスメモに自分の音声を入力して、それを聞きながらやっています。目を閉じてイメージする方がイメージしやすいので、文章を目で読んでするよりは、音声を聞きながらする方がやりやすいと思います。
次回、私がやっている方法も含めて、イメージ誘導文の例をいくつか提示してみたいと思います。