精神科医のつぶやき「待合のご様子、実はチラ見してます|待合でリラックスしていただく工夫はいかがでしょうか?」 (2025/05/20)
投稿者: furujinmachi
うちの診療所では、患者さんを私が呼びにいくスタイルをとっています。もう少し忙しくなれば、クラークを雇って、カルテ入力などは手伝ってもらうか、そのあたりも音声AIなどに助けてもらうか、色々と工夫をしようとは思っていますが、できる限り患者さんを呼びにいくのは継続したいと思っているんですよね。
患者さんを待合に呼びにいくと、待合でどんなふうに過ごしているのかが見えます。診察室では、特に通院を開始したばかりの方は緊張されていたりもするので、普段とはすこし違うところもあると思うのですよね。診察室ではあまり話をされない方が、待合ではご家族とよくお話をされたりするのを見ると、「診察室では緊張されるんだな」と気づいたりもします。待合でも硬い表情で緊張しておられるのを見ると、「まだ不安・緊張が強くてしんどそうでいらっしゃるな」と思ったりもします。
待合で座っていられずに立って待ってらっしゃる人とか(混雑しているのではなくて、様々な理由で座れないことがあります)はお待たせすると申しわけない気持ちになります。
患者さんの診断やお薬の聞き具合などは、もちろん患者さんが話されることを最優先に判断しておりますが、待合や診察室でのご様子を見て、表情や話し方などの情報もすごく大事です。うちは再診の患者さんも、看護師さんがご様子を聞きにいくのですが、看護師さんと話しているご様子なんかもちらっと見たりしています。
また、当院の待合は、大きめのソファー、カウンター席、2人席などいくつかのタイプがあり、患者さんにとってお気に入りの席があったりします。「この人は多分あの席にいるな」と思って呼びにいった時に、想像通りのところにいらっしゃると、なんとなく嬉しく思ったり。
最初に開業するときに、待合をどうするかを悩みました。開業する前には大学病院で勤務していたのですが、患者さんが「病院って、来るだけでしんどくなります」と話されたのを聞いて、「しんどいから来るのが病院なのに、病院に来てしんどくなってたら本末転倒だな…」と思ったんですよね。なので、できるだけ待合で待っている時間がリラックスできるように、いろいろなタイプの席を用意して、少しでもお気に入りの場所を作ってもらえたらな、と思っているのです。
それでも往復の道中がしんどい方もいらっしゃいますし、やはり待つのが疲れる方もいらっしゃいます。オンライン診療の導入や、待ち時間の短縮など、患者さんの通いやすい、利用しやすい診療所にする工夫はこれからも重ねていく必要があると思っています。
ちなみにうちは靴を脱いでスリッパに履き替えてもらうのですが、それも、靴を履いたままだとなんとなくリラックスできないように思って、履き替えていただくようにしています。患者さんには靴の脱ぎ履きをするというお手間をかけますが、待合ではできるだけゆっくりとした気持ちで待っていていただければと思っています。