精神科医のつぶやき「精神科の薬の特徴を知っていただきたい|こころの不調に気づく その3」 (2025/05/16)
投稿者: furujinmachi
薬剤師さんの勉強会の資料作りについての記事の続きです。『「こころの不調」に気づく〜うつ病のサインとその対応〜』についてです。
以下前回の記事です。
患者さんが精神科にかかりだしたときのフォローについて。精神科のお薬は門前薬局で受け取られることもあると思いますが、もともとのかかりつけ薬局で受け取られることもあると思います。
患者さんがどのくらいお薬のことを理解されているか、医師からなんて説明されているかを聞いていただけるとありがたいです。こちらも説明はしていますが、お薬が複数になると患者さんは誤解されていることもあります。理解が不十分な部分は補足していただけると助かります。
精神科でお薬を出す場合、メインの薬と、サブの薬がある場合があります。絶対飲んでおいて欲しい薬と、ある程度自己調整してもらっていいお薬です。頓服で出ているお薬は、自己調整してもらっていい場合が多いですよね。そのあたり、患者さんは誤解されていることが多いように思います。
精神科のお薬は、飲み出してすぐ効果が出ないものが多いです(それでも最近の薬は効果発現が早くなったと思います)。鎮痛剤みたいに、飲んだらすぐ効くと思われていると、効果がないと思って自己中断につながってしまいます。飲み続けることでじわじわ効果が現れますよ、とは説明するようにしていますが、初診はとにかくいろんなことを説明しますので、患者さんが覚えきれないこともあると思います。こちらが言い忘れてしまうこともあります。なので、そのあたり補足していただけるとありがたい。
副作用は出る場合は内服直後に出ることが多くて、なので最初は副作用は出たのに効果は出ない、という状態になるんですよね。でも飲み続けると副作用は軽減し、効果はじわじわ出てきます。ですので出来れば飲み続けてみていただきたい。薬はなるべく副作用が出ないように少量から開始するようにしていますが、どうしても体質的に強く副作用が出てしまう人がいます。そういう場合は一旦中止し、次回受診時に相談するようお願いしています。
患者さんの体質の問題もあったりするので、私はかなり薬を細かくして出すことがあります。1/8錠まで割ってもらうことがあります。同じようにしている精神科医もいるかもしれませんので、「この量はなんだ?」と思うことがあっても、そういう処方もある、と知っておいていただけると助かります。
あと、精神科の薬は、離脱症状が出るものが比較的多いように思います。ある程度の量を飲んでいて、急に中止すると、反跳現象が出てしまうのです。脳が、薬がある状態に慣れていて、急に薬が無くなると反動が起きてしまうのですね。めまい、吐き気、頭痛、冷汗、ふるえ等の症状がよく見られます。不眠になる人もいます。
離脱症状を防ぐために、お薬をやめるときは徐々に減らしていきます。なので、調子が良くなって薬をやめたいな、と思ったときも相談していただけるとありがたいです。やめたときにしんどくならないように少しずつ減らしていきます。
そういった精神科の薬の特徴についての説明を、薬剤師さんから補足していただけるとありがたいなと思います。
このシリーズはまだもう少し続けます。