メンタル不調でお仕事をお休みされた方は、いつどのようなタイミングで復職するのでしょうか?
メンタル不調の復職判断基準は、内科疾患ほど明確に決まってないように思います。急性の内科疾患、感染症などであれば、完治したら復帰、ということになりますが、メンタル不調の場合はそうはいかないですよね。

実際の現場では、どういった状況で復帰になるかには、おおむね次の3つのパターンがあるように思います。

①十分メンタル不調が回復し、本人が意欲的に復帰する
②これ以上休めないので復帰する
③これ以上休んでも状態の改善が期待できないため一旦復帰する

①は一番良いパターンです。メンタル的にも体調的にも整ったので復帰する、という状況ですね。

②は、そもそも会社が3ヶ月しか休めないなど、病休の期間の規定がある場合。そこで復帰しなければ退職になるので、十分に回復していなくても一旦復帰してみる、ということはあります。また、傷病手当金の支給が切れてしまうタイミングで復帰する方もいます。

③の場合は、ある程度は改善したものの、元通りには至っていない。でも、おそらくこれ以上休んでいてもこれ以上は回復しないので、それであれば職場に配慮願いなどして一旦復帰してみる、というものになります。

こうやって考えると、メンタル不調の職場復帰の判断には、いろんな要素が絡んでくることが見えてきます。
職場復帰に関連する要素としては、次の3つがあるかなと思います。
①病状の改善②経済事情③支援体制

まず、病状の改善について。これは、先程の復帰パターンでも、一番いいのは、すっかり良くなって復帰することだと書きました。しかし、ここで問題になるのは、メンタル不調の改善を何をもって判断するのか、という点になります。

メンタル不調が改善したというのは、自覚症状の問題ですので、良くなったかどうかは患者さんが一番よく分かるはずです。でも、うつは脳機能のいろんなところに影響しますので、気持ちの落ち込みは改善したけれども、まだいまいちやる気が出ないとか、本を読んだりYouTubeを見ようとすると、疲れてしまうとか、そういう状況になったりします。また、復職するのに対して不安が高まると、不安のせいでなんだか不調を感じたりします。でもその不安は、復職しないと改善しない部分もあったりします。そのような意味で、本当に完全にメンタル不調が消失して復職できる人は少数派ではないかと思います。

先日受けた産業医講習会では、産業医の先生が復職を許可する基準として以下のようなものをあげていました。
・労働者自身が職場復帰に関して十分な意欲を示していること
・通勤時間帯に1人で安全に通勤ができること
・職場が設定している勤務時間の就労が可能であること
・業務に必要な作業が可能であること
・業務による疲労が翌日までに十分に回復していること
・適切な睡眠リズムが整っていること
・昼間の眠気がないこと
・業務に必要な集中力・注意力が回復していること

なのでまずは睡眠リズムが安定し、一人で外出して、職場まで行くことが可能であること、それから、職場で必要とされる勤務時間程度の時間帯に活動が出来ること、それが達成できていれば復職できるのかな、と思います。

集中力・注意力は認知機能と言われる部分になり、これに関しては簡便な検査でどの程度回復しているか測定することも可能ですし、読書や動画視聴などが集中出来るかどうかで確認できます。

この話はちょっと長くなりそうなので、次回また続きを書きます。