さて、当院のリワークデイケアについて書いてきました。私としても、書くことで、自分がこのリワークデイケアについてどう捉えているのか、何を患者さんに理解してもらって、体験してもらいたいと思っているのか、それが整理できてきたように思います。


上級の最後の柱が、ライフ・ワーク・バランスについてです。これは、自分の人生の中で、仕事をどう捉えるか、ということと、今回、休職に至った理由はなんだったのか、それの振り返りになります。おそらく、リワークデイケアのプログラムの中で、一番大変な内容で、でも、一番取り組む価値のある内容だと思います。

休職して、薬物治療を受けて、しばらく休養していると、それなりには回復されてこられる方が多いです。でも、今回なぜ休職に至るほどの状態になってしまったのか、そのことの振り返りをせずに復帰してしまうと、再発する可能性を高めてしまいます。もし今後、似たような状況になった時に、どのような対策を取ればいいのか、今回復職する際に、どのようなことを気をつけなければならないか、そのことを考える時間をとってほしいのです。

振り返りをする時には、自分ばかりを背めて、「自分が悪かったからこうなったのだ」と思い込んでいる方には、「自分が悪いとばかり思っていたが、仕方がなかった点もあるのではないか」「自分ではない人が同じ状況になっても、やはり大変だったのではないだろうか。自分の能力不足だけではなかったのではないか」といったように、自分以外のところにも原因があったことに目を向けられるようになると良いと思います。

また、「上司のせいで休職になった」「同僚に理解がなく自分ばかりがしんどい思いをした」「とにかく仕事が忙しすぎた」といったように、周りの環境の問題を大きく捉えている人の場合は、「自分の伝え方が不十分で自分のしんどさがわかってもらえてなかったのかも」といったような、自分側で工夫できる点がなかったのかを考えられるようになると良いと思います。休職という大変な状況になるのは、たった一つの出来事が原因だったことは極めて稀で、いろんな要因が絡まって、メンタル不調に陥ってしまっています。

それは、仕事だけの要因にとどまらず、プライベート、家族や親しい人との中での問題が関係している場合もあります。今回、回復したのちには、いったいどのような生活、どのような人生を送っていきたいのか。その振り返りをしていく中で、復職ではなく転職を考えるようになる人もいます。でも、それはそれでいいと思います。自分が自分らしく生きていくには、どのような選択があるのか、それを考える一助に、このプログラムが役に立つといいなと思っています。

さて、プログラムの内容も自分なりに振り返りました。いよいよ、チラシ作りに入っていきたいと思います。