精神科医のつぶやきリワークデイケアを、どんな方に勧めたいか|リワークデイケアその4」 (2025/05/09)
投稿者: furujinmachi
リワークデイケアにお誘いするのは休職中の方です。それと、休職中の方だけでなく、退職してしまったけれども、なんとか転職して社会復帰したいと思っている方にも参加していただいています。
休職中あるいは退職後の方でも、たとえば女性で、家事や育児が忙しい、親の介護をされている、そういった方で、日中の活動性が十分保たれている方には、声をかけないことがあります。ある程度、家事や育児、介護をすることが、社会復帰をするリハビリになっている部分があるからです。
でも、家事や育児を頑張り過ぎてしまう方は、お声かけをすることがあります。「ねばならない」思考が強くて、手を抜けず、「せめて家にいるときは、家事育児をちゃんとしなければ」と思っている方は、復職した時に、仕事も頑張り過ぎてしまうことが多いです。考え方を柔軟にしていただく必要性を強く感じます。
あと、「休職中に何をしたらいいかわからない」「早く良くなるためにどうしたらいいのだろうか」と悩んでいる方にもお声かけします。もう少し病状が良くなるまで、焦ってほしくないのですが、何もしていないことがしんどくなってしまうので、リワークデイケアに参加する、ということ自体が、安心感につながることが期待できます。
それから、「復帰しなければと思うけれども、うまく働けるだろうか」「うつは治ってきたけれども、体力も気力もまだ十分戻っていないと思う」といった方。本来リワークデイケアに参加していただきたいのは、ある程度抑うつ気分は改善してきたけれども、まだ体力や認知機能(集中力や思考力)、意欲といったものが十分回復していない方です。デイケアを通して、社会復帰できるところまで回復していただきます。
あるいは「せっかく元気になったけれども、復帰したらまた悪くなるんじゃないだろうか」「復帰するのがどうしても不安だ」とおっしゃる方。そういう方にもお声かけします。休職するに至った経緯の振り返りが役に立つと思うからです。
それと、長く休んでいるけれども、なかなか回復しない、という方にもお声かけしています。活動性が下がってしまっていることや、人と関わらない状況自体が、回復を妨げている可能性があるからです。
こうやって書いてみると、私自身が、リワークデイケアの意義や目的をどう捉えているのか、それが整理されてきたように思います。
次回は、当院のリワークデイケアの特徴や、参加された方の感想などをまとめてみたいと思います。