10月に行う講演会の資料作りをしています。今日は、過労と精神障害との関連についてまとめようと思います。

過労が引き起こす精神障害
・うつ病
・適応障害
・不安障害・パニック障害
・睡眠障害
・心因反応・身体症状症(心身症)

どのような過労が精神障害につながるのか?
長時間労働
・時間外労働が月80時間以上 → 発症リスク大幅上昇(労災認定基準にも該当)
・睡眠不足・疲労蓄積 → 認知機能低下・気分変調・抑うつ気分へ

仕事の質的ストレス
・絶え間ない締切・マルチタスク・高い責任
・上司や同僚との人間関係ストレス
・達成感や評価の欠如

裁量の欠如・無力感
・自分で仕事量・進め方を調整できない
・「やらされ感」や「無力感」が強い環境
・心理学でいう「学習性無力感」が生じやすい

うつ病・適応障害との関係性
うつ病との関係
・セロトニンやノルアドレナリン系の神経伝達物質の不調が背景
・長期間のストレスや過労がトリガーとなり、脳のストレス応答システム(視床下部-下垂体-副腎系)を過剰に刺激
・「真面目で責任感の強い人」ほど発症リスクが高い(過労に陥りやすい性格特性)

適応障害との関係
・明確なストレス(仕事量の急増、人間関係の悪化など)に対して、6か月以内にうつ状態や不安・行動異常が生じる
・仕事の負荷が原因であることが多く、早期対応で回復が見込める
・しかし、慢性化するとうつ病へ移行するリスクあり

労災認定と司法判断の基準(現場とのつながり)
厚労省「精神障害の労災認定基準(2020年改訂)」
業務による強い心理的負荷があるかどうかを、以下の3ステップで評価
1. 業務によるストレス要因(「出来事」)の有無と強度
 例:パワハラ、長時間労働、事故体験など
2. 発病前の個人要因の有無(既往歴、性格傾向など)
3. 業務以外の出来事の影響(家庭の問題など)
→ 業務要因が主因であると認められた場合、労災認定される

過労による精神障害の実例
・事例1:営業職。新規ノルマ激増+連日22時退社、3か月後に抑うつ症状、適応障害と診断
・事例2:病院勤務の看護師。夜勤続き+人手不足による多忙。1年後にうつ病発症、休職→復職困難に

予防と対応のポイント
組織としてできること
・労働時間の把握と上限管理(36協定遵守)
・長時間労働者への産業医面談・面接指導
・パワハラ・いじめの防止(職場風土の整備)
・メンタル不調の早期発見・早期対応

個人にできるセルフケア
・十分な睡眠・休養
・頼れる相手を持つ(上司・同僚・産業医など)
・「しんどい」と口に出せる環境づくり

少しずつスライドを作っていこうと思います。