精神科医のつぶやき「共感は、共感しようとする過程が重要」 (2025/06/09)
投稿者: furujinmachi
以前にも共感について書いたことがありましたが、このテーマは本当に難しいです。
先日聞いた研修で、講師の先生がこんなことをおっしゃってました。
「そもそもコミュニケーションとは困難なものです。」
「ストレスのほとんどは対人関係にあります。」
「安易に共感されると嫌だと感じる方が多いです。」
「共感しようとする過程が重要なのだと思います。」
本当に、心に染み入るキーワードばかり。
「そもそもコミュニケーションとは困難なものです。」
この大前提って、結構重要だなと感じました。コミュニケーションとは難しいものなのです。簡単にできることではないんです。だからこそ、練習が必要だったりするんです。できて当たり前のことではなくて、スキルとして学ぶ必要があることなんです。
その意識があるかどうかですよね。うまくコミュニケーションが取れるようになるんだったら、その方法を知り、学び、実践していく必要があるんですね。
「ストレスのほとんどは対人関係にあります。」
これも、その通りだと思います。いろんな人から、ストレスでしんどいという話を聞いた時に、何がストレスか、ということを考えていくと、対人関係にいきつくことがほとんどなんですよね。たとえば過労状態でしんどくなっている人でも、そもそも過労になってしまう原因に、部下に頼めないとか、上司に言われたことを全部頑張ってしまうとか、他人との関係性の問題が浮き上がってくるんですよね。対人関係のストレスを解消していくためにも、上述のコミュニケーションのスキルが重要になってきます。
「安易に共感されると嫌だと感じる方が多いです。」
自分でも、自分の気持ちが分かりかねる時があるのに、ちょっと話しただけで「分かる」とか言われると嫌悪感を抱いてしまう、みたいな話はよく聞きます。楽しい話や、そこまで深刻でない話であれば、ちょっと話して、「あ、分かる!」みたいに盛り上がるのはとてもいいことだと思うんですよ。でも、辛い気持ちや悲しい気持ち、なんとも言えない気持ちなんかは、うまく話せないことも多いし、それでも共感したいと思ってもらえるなら、丁寧に聞いてほしい。そういうことだと思います。
「共感しようとする過程が重要なのだと思います。」
安易に共感するのではなくて、ああでもない、こうでもないって話しながら、自分にぴったりの気持ちの表現を、一緒に探していく。本当に十分には共感できないかもしれない。それでも、そうやってじっくりコミュニケーションをとっていく過程そのものが、とても重要だ、ということですね。相手の話をまず、とにかくひたすら聞くこと。その中で、相手の気持ちを理解するための質問だけをしていくこと。そうやって、相手の気持ちの理解にだんだんと近づいていくこと。それが共感するという過程なのだと思います。