カテゴリー: ワクチン
投稿者: shukuya
1.インフルエンザとは
インフルエンザウイルスによる感染症で、冬に大流行します。
かぜとは違って、頭痛、関節痛、全身倦怠感などの全身症状を伴うことが多いものです。肺炎、仮性クループなどを合併しやすいだけでなく、さらに重症であるインフルエンザ脳炎・脳症などへ進展することもあります。日本では毎年200〜500人が脳炎・脳症になっています。インフルエンザ脳炎・脳症や重症肺炎は、進行があまりにも早いため、抗インフルエンザ薬(タミフル、リレンザなど)による治療が間に合いません。

2.インフルエンザワクチン
インフルエンザワクチンは、インフルエンザに罹患した場合の重症化を防止する目的で接種が行われています。インフルエンザは毎年流行するウイルスの型が異なるため、今シーズンに流行するウイルスを予測してワクチンが製造されています。
平成26年度のワクチンの組成は「A2009型 (新型)/A香港型/B型」の三価でしたが,平成27年度は「A2009型 (新型)/A香港型/B型(山形系統)/B型(ビクトリア系統)」の四価となりました。

3.ワクチン接種の時期
従来季節性インフルエンザは、だいたい12月~3月頃に流行がみられます。ワクチンがその効果を発揮するためには、接種終了後少なくとも約2週間は必要です。11月にインフルエンザの流行が始まる年もありますし、遅くとも12月中旬までには接種を受けるとよいでしょう。また、ワクチンの効果の持続期間は、およそ5ヵ月程度と言われています。毎年接種を受けることが必要です。

4.ワクチン接種の効果
インフルエンザウイルスは、その形や性質が年々少しずつ変わるため、他のワクチンに比べ予防効果は低めです。ワクチン株と流行株が一致した場合、成人では約70%の発病阻止効果があるとされています。しかし低年齢になるとワクチンの有効率は低下します。
このようにインフルエンザワクチンは、接種したからといってインフルエンザの感染を完全に防ぐことはできません。感染した場合に重症化を防ぐためのワクチンです。
インフルエンザウイルスは、最初に鼻粘膜で増殖し、その後体内に入り込んで、時には肺炎、脳炎などの重篤な合併症を引き起こします。
これに対しワクチンは体内に抗体を作り、ウイルスが体内に入り込んでからの活動を抑制するように働きます。

そのため、ウイルスが鼻粘膜で増殖している時は、ワクチンの効果が十分みられないこともあり、感染を直接防ぐことはできません。しかし、この増殖したウイルスが体内に入り込んできた時に、ワクチンによってすでに作られている抗体が、ウイルスの活動を防いでくれるため、重篤な合併症を引き起こさないですむのです。

5.1才未満児のワクチン接種
①免疫のでき方が十分とは言えず、初年度はあまり効果が期待できないかもしれません。

②しかし、毎年接種を続けていけば、次第に免疫はできやすくなると考えられ、1~5才頃になってから初めてワクチン接種するよりも、効果が期待できると思われます(乳幼児にとって、脅威となるのは1~5才頃によくみられる脳炎・脳症です)。

③
乳児の周囲の人達(保育園の保母さん)や、同居する家族(お父さん、お母さん)が、接種することにより乳児への感染は、かなり防ぐことができると思います。


カテゴリー: ワクチン
投稿者: shukuya
ここ数年で、受けるワクチン(予防接種)が急激に増え、戸惑うことが多いと思います。今回は予防接種についてお話したいと思います。
1. 予防接種はどうして必要か?
予防接種は、子供の健康を守るための有効な手段で、基本的には、実際にかかってしまうと確実な治療法のない疾患に対しおこなわれます。
 現在でも重症合併症のこわい病気から子供を守るためのもの(麻疹、ヒブ、肺炎球菌、結核、百日咳など)、海外ではまだ流行があり中止すると再び流行のおこる恐れの大きいもの(ジフテリア、ポリオ、日本脳炎など)、常時感染の機会があり災害時の社会防衛上必要なもの(破傷風)、次世代への影響を阻止するためのもの(風疹)と大きく4つに分類されます。
2. 予防接種の種類、接種方法
 ワクチンには、生ワクチン、不活化ワクチンがあります。生ワクチンは弱毒化した病原体を生きたまま接種して感染を起こさせ、免疫を得るもので、麻疹(はしか)、風疹、水痘(みずぼうそう)、おたふくかぜ、ロタウイルス、BCG(結核)が挙げられます。不活化ワクチンは細菌、ウイルス、毒素を加熱や薬による処理で不活化したもので、接種後一定期間経過すると免疫が低下します。B型肝炎、ヒブ、肺炎球菌、四種混合(ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ)、日本脳炎、インフルエンザ、A型肝炎が挙げられます。
 予防接種の間隔は、生ワクチン接種後は27日以上あけ、不活化ワクチン接種後は6日以上あけます。
 ヒブ、肺炎球菌、ロタウイルス、B型肝炎ウイルス、百日咳菌(四種混合に含まれます)は乳児期にかかってしまうと、重症化しやすく命にかかわったりする場合もあります。生後6ヶ月までに、必要な接種回数を済ませておきましょう。世田谷区では本年4月からBCGも個別接種となりました。生後5〜8ヶ月をめどに接種するのがいいでしょう。母子免疫の有効性の違いで麻疹は生後8ヶ月以降、風疹は生後10ヶ月以降にかかりやすくなります。1歳のお誕生日がきたらMR(麻疹と風疹)ワクチン、水痘、おたふくかぜなどを接種しましょう。麻疹ワクチンに関しては家庭内や施設内の流行状況、患者との接触などを考慮し接種時期を早めることもあります。そのような場合は医師と相談しましょう。
3. 同時接種
現在1歳になる前に6種類、15〜16回の予防接種を完了する必要があります。お子さんが、怖い病気にいつかかるかは誰にもわからず、いつも体調がいいとは限りません。必要な免疫はなるべく早くつけてあげる必要があり、同時接種(2種類以上のワクチンを1回の通院で接種すること)が有効になります。同時接種の医学的なデメリットはなく、来院回数を減らすことになります。
4. 予防接種の副反応
不活化ワクチンは接種後48時間以内に発熱や注射部位が腫れることがありますが、大部分は2〜3日で消失します。生ワクチンは、接種後7~10日前後に発熱や発疹などのその病気の症状が軽く現れることがあります。
万が一、重い副反応が起こったときには、医療費、保証金や介護手当の支給などの救済制度があります。