アトピー性皮膚炎の治療は、Ⅰ スキンケア、Ⅱ 薬物療法(塗り薬)、Ⅲ 悪化因子の除去が基本となります。
Ⅰ スキンケア
アトピー性皮膚炎のお子さまの皮膚のバリア機能は弱く、抗原(ダニ、ペット、花粉など)、細菌などが侵入しやすく、それらが悪化因子となっています。また汗なども悪化因子となるため皮膚を清潔に保つことが大切です。
毎日入浴・シャワーをしましょう(できれば1日2〜3回)。その際には石けん・シャンプーをよく泡立てて、素手でやさしく洗い、十分すすぐことが大切です。
また洗った後の肌は、皮脂膜や保湿成分がとれてしまっています。アトピー性皮膚炎のお子さまは、もともと皮脂膜や保湿成分が少なく乾燥しやすいため、入浴・シャワーの後は速やかに保湿剤を塗布しましょう。
Ⅱ 薬物療法(塗り薬)
アトピー性皮膚炎のお子さまのひびの入った皮膚(炎症がおきている皮膚)のバリア機能をまず回復させるためにはステロイドの塗り薬の使用が必須になってきます。
ステロイドというと副作用を心配される親御さんがいらっしゃるかもしれません。確かに長期間飲み薬として大量のステロイドを内服すると全身的な副作用が現れやすいです。しかしアトピー性皮膚炎では塗り薬として使用し、直接皮膚に働くので、通常量では全身的な副作用はまず現れません。
塗り薬としての副作用は、「皮膚が薄くなる、血管がういてくる」と「皮膚感染症(とびひ、みずいぼなど)の部位に使用すると悪化する」の二つのみです。これらは医師の指導の下に適切に使用すれば避けられるものです。万一そのような症状が現れても、元の正常な皮膚に戻る心配のないものです。
その他「ステロイドの塗り薬をぬると肌が黒くなる」「やめるとまた悪くなる」などといったことを見聞きすることがありますが、前者はアトピー性皮膚炎がおさまった後の色素沈着(日焼けの後に一時的に黒くなるのと同じ)で、根気よくステロイドを塗り続ければ正常に戻るものです。後者は中途半端に治療をやめることによってアトピー性皮膚炎が再び悪化したためのものです。
アトピー性皮膚炎に対しては早期に十分な量のステロイドをぬり、早く皮膚炎をよくしてあげて(かゆみもへります)、その後減量、中止することが結果的にはステロイドの合計使用量がへり、本人およびご家族の生活の質をあげることになります。
具体的な塗る量や減量方法については外来でゆっくりとお話していきます。
Ⅲ 悪化因子の除去
乾燥、汗、引っ掻くなどの刺激、心理的ストレスなどに対する対策が必要です。乳児(1歳未満)で通常のスキンケア、薬物療法を行っても軽快しない場合には食物アレルギーの関与を疑って検査を行い、必要に応じ除去などを行うことがあります
Ⅰ スキンケア
アトピー性皮膚炎のお子さまの皮膚のバリア機能は弱く、抗原(ダニ、ペット、花粉など)、細菌などが侵入しやすく、それらが悪化因子となっています。また汗なども悪化因子となるため皮膚を清潔に保つことが大切です。
毎日入浴・シャワーをしましょう(できれば1日2〜3回)。その際には石けん・シャンプーをよく泡立てて、素手でやさしく洗い、十分すすぐことが大切です。
また洗った後の肌は、皮脂膜や保湿成分がとれてしまっています。アトピー性皮膚炎のお子さまは、もともと皮脂膜や保湿成分が少なく乾燥しやすいため、入浴・シャワーの後は速やかに保湿剤を塗布しましょう。
Ⅱ 薬物療法(塗り薬)
アトピー性皮膚炎のお子さまのひびの入った皮膚(炎症がおきている皮膚)のバリア機能をまず回復させるためにはステロイドの塗り薬の使用が必須になってきます。
ステロイドというと副作用を心配される親御さんがいらっしゃるかもしれません。確かに長期間飲み薬として大量のステロイドを内服すると全身的な副作用が現れやすいです。しかしアトピー性皮膚炎では塗り薬として使用し、直接皮膚に働くので、通常量では全身的な副作用はまず現れません。
塗り薬としての副作用は、「皮膚が薄くなる、血管がういてくる」と「皮膚感染症(とびひ、みずいぼなど)の部位に使用すると悪化する」の二つのみです。これらは医師の指導の下に適切に使用すれば避けられるものです。万一そのような症状が現れても、元の正常な皮膚に戻る心配のないものです。
その他「ステロイドの塗り薬をぬると肌が黒くなる」「やめるとまた悪くなる」などといったことを見聞きすることがありますが、前者はアトピー性皮膚炎がおさまった後の色素沈着(日焼けの後に一時的に黒くなるのと同じ)で、根気よくステロイドを塗り続ければ正常に戻るものです。後者は中途半端に治療をやめることによってアトピー性皮膚炎が再び悪化したためのものです。
アトピー性皮膚炎に対しては早期に十分な量のステロイドをぬり、早く皮膚炎をよくしてあげて(かゆみもへります)、その後減量、中止することが結果的にはステロイドの合計使用量がへり、本人およびご家族の生活の質をあげることになります。
具体的な塗る量や減量方法については外来でゆっくりとお話していきます。
Ⅲ 悪化因子の除去
乾燥、汗、引っ掻くなどの刺激、心理的ストレスなどに対する対策が必要です。乳児(1歳未満)で通常のスキンケア、薬物療法を行っても軽快しない場合には食物アレルギーの関与を疑って検査を行い、必要に応じ除去などを行うことがあります
典型的なアトピー性皮膚炎は生後1〜3ヶ月頃に顔面の湿疹から始まり、徐々に体、手足などに広がっていきます。生後1〜3ヶ月のこの時期には乳児脂漏性湿疹もみられます。乳児脂漏性湿疹は数ヶ月もすれば自然に治ってしまいますが、アトピー性皮膚炎との区別はなかなか難しいものです。
ではアトピー性皮膚炎とはどういうものなのでしょうか?
1.アトピー性皮膚炎とは、以下のような特徴がある湿疹です。
① かゆみがある
② 赤ちゃんから年長児へと成長していくと、症状が移り変わる
③ 良くなったり、悪くなったりを繰り返す(乳児では2ヶ月以上、その他では6ヶ月以上持続する)
④ アトピー素因※1がある
※1 アトピー素因:家族に気管支喘息やアレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎などアレルギー疾患を持つ人がいる。あるいは本人がそれらにかかったことがある。またはダニや花粉、食物などに対して反応しやすい体質(IgE抗体をつくりやすい体質)のことです。
2.原因
原因はよくわかっていません。
体質的に乾燥しやすい肌をもち、皮膚としてのバリア機能が弱いため(セラミドの量が少ないなど)、外から異物(アレルゲンや細菌など)が入りやすく、湿疹やかぶれなどを起こしやすいと考えられています。
ダニ、ペット、花粉、食物などのアレルゲン、黄色ぶどう球菌などの細菌の他に、引っ掻くなどの物理的な刺激、汗、心理的ストレスなどさまざまな悪化因子があります。
3.検査
本当の原因がわかっていませんので、インフルエンザ迅速検査のように、この検査が陽性ならばアトピー性皮膚炎であるという検査はありません。
アレルギー反応を起こし、かゆみなどをもたらすきっかけとなるアレルゲン※2を特定するために皮膚検査や血液検査がよく行われますが、検査は補助的に行うものと考えてください。また乳児の食物アレルギーはアトピー性皮膚炎として発症することがほとんどですが、乳児のアトピー性皮膚炎のすべてに食物アレルギーが関与しているわけではありません。
当院では食物アレルギーの関与するアトピー性皮膚炎が疑われたおこさまに、皮膚検査としてはプリックテスト、血液検査としては特異的IgE抗体検査(イムノキャップ)を行っています。前者は15分、後者は2〜3日で結果が出ますが、それ以外にもそれぞれ利点、欠点があります。外来でゆっくりお話をし、必要な検査をしていきましょう。
※2アレルゲン:アレルギーを引き起こす物質(抗原)
ではアトピー性皮膚炎とはどういうものなのでしょうか?
1.アトピー性皮膚炎とは、以下のような特徴がある湿疹です。
① かゆみがある
② 赤ちゃんから年長児へと成長していくと、症状が移り変わる
③ 良くなったり、悪くなったりを繰り返す(乳児では2ヶ月以上、その他では6ヶ月以上持続する)
④ アトピー素因※1がある
※1 アトピー素因:家族に気管支喘息やアレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎などアレルギー疾患を持つ人がいる。あるいは本人がそれらにかかったことがある。またはダニや花粉、食物などに対して反応しやすい体質(IgE抗体をつくりやすい体質)のことです。
2.原因
原因はよくわかっていません。
体質的に乾燥しやすい肌をもち、皮膚としてのバリア機能が弱いため(セラミドの量が少ないなど)、外から異物(アレルゲンや細菌など)が入りやすく、湿疹やかぶれなどを起こしやすいと考えられています。
ダニ、ペット、花粉、食物などのアレルゲン、黄色ぶどう球菌などの細菌の他に、引っ掻くなどの物理的な刺激、汗、心理的ストレスなどさまざまな悪化因子があります。
3.検査
本当の原因がわかっていませんので、インフルエンザ迅速検査のように、この検査が陽性ならばアトピー性皮膚炎であるという検査はありません。
アレルギー反応を起こし、かゆみなどをもたらすきっかけとなるアレルゲン※2を特定するために皮膚検査や血液検査がよく行われますが、検査は補助的に行うものと考えてください。また乳児の食物アレルギーはアトピー性皮膚炎として発症することがほとんどですが、乳児のアトピー性皮膚炎のすべてに食物アレルギーが関与しているわけではありません。
当院では食物アレルギーの関与するアトピー性皮膚炎が疑われたおこさまに、皮膚検査としてはプリックテスト、血液検査としては特異的IgE抗体検査(イムノキャップ)を行っています。前者は15分、後者は2〜3日で結果が出ますが、それ以外にもそれぞれ利点、欠点があります。外来でゆっくりお話をし、必要な検査をしていきましょう。
※2アレルゲン:アレルギーを引き起こす物質(抗原)