文字通り人間などに感染する病気であり、小児科でみる病気のうち、9割方が感染症と言っても過言ではないです。いわゆる“かぜ”、インフルエンザ、中耳炎、肺炎、胃腸炎、髄膜炎、尿路感染症、とびひなどたくさんの種類があります。

感染症は、大きく細菌感染によるものと、ウイルス感染によるものとにわけられます(その他、特殊なものとしてマイコプラズマ、真菌=いわゆるカビ、があります)。
細菌とウイルスの違いはいろいろありますが、知っていただきたいことは、細菌には抗菌薬(抗生物質)が効きますが、ウイルスには効かないということです。

細菌には、百日咳ジフテリア破傷風結核、溶連菌感染症、ヒブ肺炎球菌などがあります。先ほど「細菌には抗菌薬が効く」と述べましたが、この十数年、耐性菌が増えてきています。耐性菌とは抗菌薬が効かない細菌のことです。抗菌薬を乱用したりすると、細菌は姿を変えて、その薬に強い新種となって現れ抵抗し耐性菌となります。特にヒブ、肺炎球菌には近年、耐性菌がどんどん多くなってきています。

ウイルスには、麻疹(はしか)、風疹おたふくかぜ水痘(水ぼうそう)、突発性発疹、インフルエンザ、ウイルス性胃腸炎(ロタ、ノロ)、ポリオ、手足口病、プール熱、ヘルパンギーナ、B型肝炎日本脳炎、水いぼなどがありますが、名前がついていなくても人間に感染するとわかっているウイルスは数百種類あります。
そして現在のところ、水痘・帯状疱疹・単純ヘルペスとインフルエンザ以外のウイルス感染に効く薬はありません。先ほども述べましたように抗菌薬も効きません。しかし、幸いなことにウイルスの病気はほとんどの場合、自分の力(免疫の働き)で自然に治ります。

いわゆる“かぜ”の原因の80〜90%はウイルスであり、これらウイルス感染に抗菌薬を使っても効きませんし、耐性菌を増やすだけとなります。
“かぜ”のなかで抗菌薬を必要とする細菌感染症は10〜20%です。
そこで、おこさまの“かぜ”がウイルスによるものか細菌によるものかを見分けることが、とても大切になってきます。そのために、お話をよく聞き、診察し、時には必要に応じ検査もします。そして最初は抗菌薬が不要と判断した場合は、何よりその後の注意深い経過観察が大切となってきます。お子さんの体調(免疫の状態)によっては、細菌が後から入り込んで二次感染(中耳炎、副鼻腔炎、肺炎など)をおこすことがあり、そのような場合は抗菌薬が必要となってきます。小さな赤ちゃんや全身状態の悪い場合は1〜3日ごとに来院していただいて、診察させていただきます。

数多く存在する感染症の中には、ウイルス、細菌にかかわらず、かかってしまうと重症になって苦しむだけでなく、重い後遺症を残したり、最悪の場合、命を奪うものもあります。このような病気(本文太字のもの)に対しては予防のためのワクチンが開発されています。予防接種は積極的に受けるようにしましょう。