夜尿症はめずらしい病気ではありません。
当院では夜尿症の相談に積極的に応じています。
一緒に治していきましょう。
当院では夜尿症の相談に積極的に応じています。
一緒に治していきましょう。
1. 夜尿症とは
おねしょとは、夜寝ている間に無意識のうちにおしっこをしてしまい、布団や寝具をぬらしてしまう状態をいいます。
生まれてすぐの赤ちゃんは毎日おねしょをしますが、その割合は年齢とともに減っていきます。5、6歳で約15%、小学校低学年で約10%、小学校高学年で約5%にみられ、まれなものではありません。5〜6歳をすぎても月に数回以上おねしょをする場合に「夜尿症」といいます。通常小学生以上が治療の対象となります。
尿をためる膀胱の大きさと、夜間睡眠中に作られる尿量とのバランスが悪く、無意識のうちに尿が膀胱からあふれてしまうことが本態です。つまり膀胱が小さすぎたり、尿量が多すぎたりすると、あふれた尿がおねしょとして、でてきます。
「夜尿症」のこどもの60%に、ご両親兄弟に過去に夜尿症があることがしられています。夜尿症は現在では遺伝的素因に基づく睡眠時の排尿機構の発達障害と考えられており、育て方などとは関係ありません。
2. 夜尿症のタイプ(病型)
夜尿症は患者さん一人一人が異なった原因を持っていますが、多くは1次性夜尿(生まれたときからずっと夜のおむつがとれない)であり、基礎疾患(腎臓などの他の病気)が無いものです。
外来にいらしたら、まずこの基礎疾患が無いかどうか、お話を聞き、尿検査などを施行します。基礎疾患が否定されたら、まず夜尿日記を記録して頂き、夜尿症のタイプを見極めます。
夜尿症には、多尿型(ぐっしょり型:一晩の尿量が多いため尿が膀胱からあふれてしまう)、膀胱型(ちょぴり頻尿型:膀胱が小さいため、おしっこをためる力が弱く尿が膀胱からあふれてしまう)、混合型(夜間の尿量が多く、しかも膀胱が小さい)、解離型(膀胱の大きさは正常で、夜間の尿量も正常なのに夜尿してしまう)といった四つのタイプがあります。
3. 生活指導
「あせらず、起こさず、叱らず」が原則です。
あせらず:夜尿症の治療にはどうしても一定期間が必要です。おおらかな気持ちをもってこどもに接しましょう
起こさず:通常、夜間には抗利尿ホルモン(尿量を減らすホルモン)がでて、夜間睡眠中に作られる尿量は昼間に比べ減ります。夜中に無理矢理おこしてトイレに行かせることは、このホルモンの夜間分泌を妨げることになり、結果的に夜尿症が治るのが遅れます。
叱らず:夜尿症のこどもは、口には出さないものの、夜尿症が大きな心の負担になっています。まして無意識に起こったことを責められても困ってしまいます。「できないことを叱らない、できたことを褒める」のは育児の基本です。何か一つおうちでするお手伝いを決めて、それができたら、思い切り褒めて、自信を持たせてあげましょう。
生活指導は夜尿症のタイプに応じて、おこないます。水分の取り方に注意し、朝昼は多く取り、夜間の尿量を少なくするため夕方から制限します。果物、牛乳、みそ汁などは朝昼にとるようにします(あくまでこれは基礎疾患のない夜尿症に対して行うものですので医師の指導の下に行ってください)。またタイプによっては、おしっこをためる膀胱を大きくするため、昼間の尿を出来るだけ我慢することもあります。
4.治療
生活指導で改善が悪い場合には、夜尿症のタイプにあった薬物療法(内服薬)、アラーム療法などを行います。
夜尿症の多くが、大きくなれば自然に治りますが、自然経過例と治療例では治るまでの期間が大幅に違います。ただお子さんの治したいという意欲と家族の協力が、その治療効果に大きく影響します。夜尿症は必ず治ると信じて前向きに取り組む姿勢が大切です。
5.お泊まり行事
夜尿があるため、修学旅行などに行かないという方がいらっしゃいます。前述したように小学校高学年でも約20人に1人、つまりクラスに1-2名はかならず夜尿の子はいます。他の子に気づかれぬよう夜中にそっと起こしてもらうなど先生に協力してもらい、参加するようにしましょう。