ひろやまメンタルクリニックブログ

前回は疑ってみることも必要だと書きました。
強すぎると困るけど大事なものに不安があります。不安は危険から身を守ってくれます。ないと傷ついてしまいます。
海外での話です。エビに抗不安作用のある薬が効くとどんどん明るいところに出てくるようになったそうです。その結果どんどん魚に食べられてしまったそうです。不安は鎧みたいなものです。だからこそ丈夫すぎて重すぎると動けなくなります。
不安は当院でも治療の対象になることは多いです。でも少しあって良いのです。

今回震災を経験して気づいたことを書いておきたいと思います。徒に不安をあおるつもりはありませんが、皆さんが頭に置いておくとよいのではないかと思います。
歴史の話で大本営発表というものがあったことを思い出しました。第二次大戦中の大陸や太平洋での日本軍の戦果について帝国軍大本営から発表されました。何があっても帝国軍は善戦している、米軍は苦戦しているというものだったそうです。味方が100機打ち落とされていることは言わずに、敵機を30機落としたと報じる感じです。
戦後60年以上立っても、民主主義になっても国家というシステムは本質的には進歩していないように見えます。国の発表は建前としがらみでがんじがらめになっています。
「我思う故に、我有り」
とデカルトは言いました。懐疑主義までいかなくてもデカルト的懐疑はおすすめです。絶対的な教科書が存在しない情報については、疑ってみることも重要だと思いました。

もうすぐ震災後2ヶ月になります。3月28日に診療を再開してから1ヶ月以上になってしまいました。更新が遅れて申し訳ありません。
震災後避難していた方々の中でも多くの方が当院での治療を再開しています。一方では震災の影響で新しく受診する方も増えています。眠れなくなった、不安が強くなって落ち着かないという方が多いです。中には恐怖を再体験するという方もいます。PTSDのレベルに至っている方もいるようです。震災後3週間を過ぎたあたりから増えてきたように思います。こういった問題も早めに治療開始が早い回復につながります。
今回の震災は地震、津波による被害が甚大ですが、福島県の場合は原発の問題も抱えており、こちらの問題は現在進行形で予断を許しません。