最近、テレビCMなどで、「ジェネリック医薬品」という言葉をよく耳にします。ジェネリック医薬品って何でしょう?

一般に、新薬を開発、製造し市場に送り出すまでには、膨大な費用と時間が必要です。このため新薬に関しては、これを開発、製造した製薬会社はその薬剤の構造や製造法などについて特許を取得し、一定期間(一般には20年)その薬剤を独占的に製造、販売することができますが、この期間を過ぎると他の会社も同一の薬剤を製造、販売することができるようになります。このようにして、特許権を持たない企業が製造、販売する医薬品がジェネリック医薬品(以下、ジェネリックといいます)です。

ジェネリックは、すでに少なくとも20年以上使用され、その有効性、安全性が確認されている薬剤と同様の主成分を使用するので、発売するに際してこれらを確認するためのいくつものテストを省略できます。このため製造、販売コストが安くなり、それに伴って薬価も低く抑えられますので、結果的に患者さんが薬剤費として支払う自己負担金も少なくなるというわけです。

ただ、「同じ効果で、薬剤費が30~80 %も安くなる」といった宣伝文句は若干説明不足で誤解を生む可能性があるように思います。まず「同じ効果」という点ですが、確かにジェネリックは先発薬剤と同じ主成分から作られてはいるのですが、製剤化するにあたって使用する基剤などには相違があり、実際に投与された場合に本当に全く同じ効果が得られるかどうかには多少の疑問があります。次に価格ですが、計算してみると80 %はおろか30 %ですら安くなる方はまれですし、薬剤費は患者さんが負担される医療費の一部にすぎないので、診察料や技術料、検査料などを含めた医療費の総額からみれば、コストダウンの程度はさらにささやかなものになります。

当院では患者さんからご希望があった場合には、可能な限りジェネリックを処方するようにしておりますので、遠慮なくお申し出ください。ただ、ジェネリックが存在するのは少なくとも20年以上前に開発された薬剤についてだけですので、すべてをジェネリックに変更できる患者さんは多くはありません。また、たとえば降圧剤などを服用中でその薬剤自体は比較的新しく、したがってその薬剤にはジェネリックはないのですが、降圧剤をより古いものに変更すればジェネリックを使用することもできる、というケースもあります。この場合は完全な薬剤の変更になり、当然効果や安全性も変わってきますので、その旨ご説明してご納得いただいた方のみにジェネリックを使用するようにしております。