禁煙を希望して当院を訪れる方が増えています。タバコの値上げも関係あるのかも知れませんが、何と言っても内服薬(チャンピックス)による禁煙法が好評のようです。「知り合いがこの方法で止めたので」といったような口コミで来院される方も多いようです。製薬メーカーの予想をはるかに上回る売れ行きに生産が間に合わずに品薄状態となっており、このため当院でも当面新規の患者さんの受付をやむなく休止しているという状況です。
このお薬のいいところは、他の方法(貼り薬やガム)と違ってニコチンそのものを使用するのではないという点でしょう。ニコチンそのものを補充する従来のニコチン代替療法では、仮に一旦禁煙に成功したとしても、ニコチン製剤であるガムや貼り薬を中止する時にニコチン切れが起こるため、再喫煙のリスクが高いことが予想されます。これに対して内服薬はニコチンそのものではないため、内服期間中に禁煙の習慣さえついてしまえば、内服中止後に再喫煙のリスクが急に増加することは理論上ないと考えられます。また、ニコチンそのものを利用する方法では、ニコチンをタバコ以外の方法で補充することになりますので、治療を開始するや否や一気に喫煙を0にする必要があります。つまり、貼り薬やニコチンガムを使用しながら喫煙するということは、絶対やってはならないわけです。一方、内服薬はニコチンの作用を出にくくし、平たく言えばタバコをまずく感じるようになることによって禁煙を補助しようというものです。なので、内服当初は少々喫煙が続いても問題はありません。内服薬を服用しながら喫煙することで、タバコのまずさを実感していただいた上で徐々に0にしていただければよいのです。このあたりも、禁煙のストレスを減少させることにつながるでしょう。
来年初め頃には薬の供給も安定すると思いますので、禁煙しようという方はご相談下さい。